卒園生がカクレクマノミの飼育を始めたと教えてくれたのでビックリしました。ディズニーの「ファインディング・ニモ」の主人公として有名になった海水熱帯魚で、オレンジ色に太めの白いバンドが愛らしい魚です。自然界では、イソギンチャクの中に隠れることでも知られています。

 そんなカクレクマノミですが、飼育するのは簡単ではありません。以前、その子のお母さんから、飼育したいとせがまれているがどうだろうか、と相談を受けたことがあったので、小学生には海水魚飼育は難しいから、淡水の熱帯魚から始めてはどうか、とアドバイスしていました。

 金魚やメダカを飼育することはさほど難しくはありませんが、うまくいく人といかない人がいます。どこに違いがあるのかと言うと、環境が整ったかどうか、で差が出るのです。

 具体的に言うと、金魚やメダカなど観賞魚は水槽や金魚鉢で飼いますが、限られた水量の中に放り込まれます。その中で、魚は餌を食べ、糞尿をします。糞尿はアンモニアという有害物質なので、そのまま放っておけば魚はたちまち死んでしまいます。毒の中では生きられませんからね。

 そこに登場するのがバクテリアという微生物です。水槽に設置したフィルターや砂利などにバクテリアが付着します。このバクテリアの中に、アンモニアを餌とするものがいて、有害なアンモニアを、害の少ない亜硝酸という物質に変えてくれ、さらに、別のバクテリアが亜硝酸をより害の少ない硝酸塩に変えてくれます。このバクテリアをたくさん水槽内で繁殖させるために、フィルターと呼ばれる器具を設置するのです。

 実は、金魚やメダカも、熱帯魚も海水魚も、飼育の仕組みは同じです。ただ、海水ではバクテリアの繁殖スピードが遅く、さらに海は池や川のように一瞬で環境が変化することがほとんどないので、海水魚は環境の変化に極めて敏感です。つまり、体調を崩して病気になりやすいのです。逆に、金魚やメダカは、多少の変化は問題になりません。だから、金魚やメダカは飼いやすく、海水魚は難しいのです。

 この卒園生、毎日のように熱帯魚店に通い、店員さんからたくさん学んだそうです。そして、ついに親を説得し、ニモの飼育に成功しました。恐れ入りました。

 好きこそ物の上手なれ、という言葉があります。好きだからこそ熱心に学び、吸収も早いということを意味します。ですから、興味を持ったことに、興味を持った時に取り組める環境が整えられるのが理想です。タレントのさかなクンは、毎週末水族館に通わせてもらったと聞きました。ある時期はタコが好きになり、朝から閉館まで、ずっとタコの水槽の前にいてタコを観察していたそうです。お母さんはそれにずっと付き合っていたというのですから、感心するほかありません。それが理想だとわかっていても、さすがにそこまでは、と思ってしまいますよね。

それでも、学びのきっかけは好奇心ですから、その好奇心を抱くきっかけを増やし、学びの入り口に立たせることは比較的容易です。ですから、子どもたちが関心を示し、学ぼうとするきっかけ作りには、色々とチャレンジしていきたいと思うのでした。 
園長:新井純

『園長ブログ カピバラのひげ』 | 12:19 PM | comments (x) | trackback (x)
ちょうど1年前に召天した父の遺骨を散骨するため、9月半ばすぎに長崎に行ってきました。折りしも最強レベルと言われた台風14号が九州や中国地方に襲来するタイミングだったため、予定していた飛行機が欠航、翌日の始発に振り替え、予定を短縮する強行軍となりました。

 散骨は、熊本県天草市と長崎県南島原市を結ぶフェリーの上から行いました。これを聞いて「九州のご出身?」と尋ねられることがありますが、父は群馬県の出身なので、全く違います。

少し歴史の復習をしましょう。キリスト教が伝来した1549年以降、キリスト教は一気に広まり、特に長崎では大名も信仰を持ち、地域ごとキリスト教徒なるという現象も起こりました。しかし、大名と庶民が信仰を介して仲良くし過ぎるのは、将軍にとっては反乱の危険が増すと思われて警戒しなければならないことでした。また、宣教師に紛れて人身売買をする連中が忍び込み、日本人を奴隷として連れ去るという事例もあったと言われています。さらには、急激に勢力を伸ばしてきたキリシタンを仏教界が警戒しました。そこで仏教界は将軍をそそのかし、豊臣秀吉はバテレン追放令を、江戸幕府は禁教令を発令したのです。

でも、「信仰を捨てろ」と言われて、「わかりました」という人はいません。大好きな人がいるのに「好きになってはいけません」と言われたからと言って、素直に聞き入れたり諦めたりできないのに似ています。ですから、たくさんの人たちが信仰を捨てずに処刑されたり、何よりも信仰を持っていることを隠して暮らすようになりました。

そのため、お墓もキリシタンだと気付かれないように工夫されました。人目につかない林の中に墓地を作るとか、墓石だとわからないように、自然石の裏にこっそり十字架を刻んだりしてお墓を隠しました。なので、墓石だと気付かず、現代ではそれを庭石にしたり、石垣に使ったりしていました。

それら潜伏キリシタンの墓石を古文書を頼りに探し出し、墓石を通してキリシタンを研究するというのが父のライフワークでした。そのため、父は思い入れのある彼の地に、自らの遺骨を散骨するよう言い残していたのです。

キリスト教では、目に見えるものではなく、目に見えないものを大切にするという教えがあります。目に見えるものはいずれ消え去るけれども、目に見えないものは永遠に続くというのです。確かに物質的なものは、やがて朽ち果てます。この地球でさえ、あと50億年もすれば消滅すると言われているくらいです。でも、親が子を思う愛などは、目には見えませんが、誰にも邪魔されることなく、永遠に残り続けます。たとえ肉体が滅んでしまっても、私たちの心は永遠だからです。

 私たちはつい見た目を気にしたり、対外的な面で見栄を張ってしまったりと、無駄なことに心を砕くことがありますが、実は本当に大切なものは、高価なものでも、きらびやかなものでもなく、ごくごくシンプルに、優しく、楽しく、穏やかだったり、爽やかだったりという、心地よい時間や関係性なのだということに気づきます。子どもたちとそうした時間を過ごすことは、子どもたちにとっても、私たち大人にとっても、必要で大切な時間なのだと改めて思うのでした。
園長:新井純

『園長ブログ カピバラのひげ』 | 12:01 PM | comments (x) | trackback (x)
9月になろうというのに、園舎裏の林からはクマゼミやツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきます。いつまで続くのでしょう。

8月の初め頃、通勤途中の街路樹の、しかもかなりの大木の下を通った時には、物凄い数のセミが驚くほど力一杯鳴いていました。シャオシャオシャオシャオシャオシャオシャオシャオシャオシャオシャオと、「これは騒音公害と言われるレベルだな」と妙に感心しながら、思わず苦笑してしまうほどでした。その後、海釣りに行った際、普段は沖に出るのですが、その時は船頭さんが岸近くに船を進め、やはり岬の森の中から、全力のセミの合唱がうるさいほど聞こえてきて、まさか海の上でここまでやかましいセミの声を聞くとは思わなかったと、これまた苦笑いするのでした。

セミの地上での寿命は1週間ほどと言われています。その間に子孫を残すのですが、そのパートナー探しをするために鳴くのだそうです。

 地上に出る期間が1週間ということで、「かわいそうだ」とする見方は、昔からされてきたと思われます。「セミは1週間しか生きられない。だから、一生懸命生きている」と。

 でも、それは違います。一般的なセミは地中で6〜7年ほど暮らしながら成長しています。その間は樹の根っこから養分を吸い取ります。それは決して不幸なことではないはずです。だって、蝉にとってはそれが当たり前だからです。なのに、地中での生活が幸せではないと考えるのは、人間の勝手な思いこみでしょう。ミミズだって、オケラだって、モグラだって、主に地中で生活している生物は、むしろ明るいところに出てくると、外敵に襲われたり、干からびたりして、ろくなことはないのです。もし人間が地中に留め置かれたら、それは不幸なことだと言っても反論はされないかと思いますが、地中で生きることを決めた生き物は、地中こそ居心地の良いところなのです。

 こうした勘違いや思い込みで、私たちは失敗します。自分の思い込みだけで、隣人が幸せか不幸かなんて、決められるはずがありません。

 最近、山中に小さな土地を買い、そこに自分で小屋を建てて暮らしている家族のことがテレビで紹介されていました。世間のさまざまなしがらみから解放されて、せかせかしない、なるべく自給自足のスローライフを楽しむ生き方を選択したということです。

思うに、昔の人たち、特に田舎暮らしの人たちは、特に選択をするつもりがなくてもスローライフでした。だから、自給自足や、いわゆる一般社会の中で仕事をしないで生活することは特別なことではなかったのですが、便利な世の中、スピード感のある社会生活にはめ込まれていると、スローライフは、時代に逆行するかのように受け取られるのかもしれません。確かに現金収入は少ないかもしれないし、多くの人が当たり前のように現金収入を得るために働く世の中では、そうした生き方は奇異の目で見られることさえあるでしょう。

でも、自分の人生なのですから、生き方はそれぞれが決めれば良いことです。周りがとやかく言うことではないし、好きか嫌いかは自分で決めれば良いのです。ピカソの絵が好きかどうかも、自分で決めるのです。   

 園長:新井純

『園長ブログ カピバラのひげ』 | 12:00 PM | comments (x) | trackback (x)
10月の献立表です。
2022年10月献立表
給食便り | 08:08 AM | comments (x) | trackback (x)
やっと少しずつ秋らしい気候になってきましたね。
遅ればせながら、いっぱい楽しんだ夏のあそびの様子をお届けします♪

「湯水あそび」


個別のタライにチャポン!!
湯水を叩いて水しぶきを上げたり、おもちゃをなめなめ楽しかったよー。

「色水あそび」


色んな色のお水に初対面。見つめてみたり、汲んだり、流したり♪

「寒天あそび」


食紅で色付けした寒天。持ってみたり、握ってプルプルな感触を体験したよ。中には「おいしそ~」と食べそうになる子もにかっ!?

「えのぐ」


パンパンぬりぬり。えのぐだらけで遊んだよ星

「あわ」


つんつんしたり、スポンジモミモミ。あわあわになったよ。

「どろんこ」


裸足でお庭にレッツゴー!!砂や泥にいっぱい触れたよ♪

「片栗粉」


粉やお水を加えたトロトロドロドロを味わったよ。


色んな遊びを楽しんだすみれさん。
初めから大胆な子や、意地でも触ってみない強い意志を感じる子にひひ、少しずつ慣れてやってみる子.・・・色んな姿がありました。
お部屋でも、ハイハイができるようになったり、歩けるようになったり、身も心もすくすく成長中。
秋はどんな姿を見せてくれるか楽しみです♪
(k)
スタッフブログ::すみれチーム | 02:35 PM | comments (x) | trackback (x)
夏の姿をご覧ください。

〈どろんこ〉
砂場がウォータースライダーに!大人気で長蛇の列が出来ました。
1

泥プールにザブン!ワニになって泳いだよ。
2

泥温泉につかってー
3

ほっこりします
4

走ってきて飛び込むよ
5


〈夏まつりごっこ〉
竹の水鉄砲で風船割れるかな?!
6

竹の水鉄砲はよく飛んだね
7

金魚&恐竜すくい。ガッツリすくいました。
8

風船釣り、上手く釣れたよ。
9

シャワー輪投げ、上手く入るかな。
10


いろんな状況でしたが、楽しんだ子どもたちです。秋からまた元気いっぱい遊んでね。
(M)

スタッフブログ::のあ・むぎチーム | 08:48 AM | comments (x) | trackback (x)
9月の献立表です。
9月献立表
給食便り | 05:25 PM | comments (x) | trackback (x)
8月も毎日あつーい日が続きましたが、そんな暑さなんて吹っ飛ばしてしまうほど元気いっぱいのゆりっこたちでした。登園すると「今日は何して遊ぶの~?」と水遊びが楽しみで仕方ない子どもたちがかわいかったです。

今回も楽しく遊んだ夏の遊びの様子を少しご紹介します!

どろんこ遊び
最初は汚れるのが嫌だった子もいましたが、楽しいと分かればすぐに大胆な遊びになっていきます。どろんこプールにどろんこ温泉♬どっぷり浸かって楽しむゆりさんでした。




プール遊び
毎週水曜日はプールの日!水着に着替えるとテンションがあがります。ワニさんに変身もとっても上手。可愛いゆりワニさんがいっぱいです。


フラフープだってくぐれちゃうよ!



そしてみんなが大好きだったビー玉拾い!「わあ♬宝物だあ♬」と目をキラキラさせていました。2個しかない大きいビー玉は大人気で競い合うように探していましたよ。


少し慣れてきたらちょっと激しい遊びも楽しめるようになりました。

ゲームBOXから大ジャンプ!


ちょっと怖かったけどタライにのって一寸法師になってみました。



スライム遊び
冷たくて気持ちいいスライム。ツンツン触ったり…伸ばしてみたり…プリンもできたよ!


カップに入れたらゼリーの完成。お友達と乾杯して楽しそうに遊んでいました。



洗濯ごっこ
いつも使っているままごとのエプロンや赤ちゃん人形のお洋服をみんなで洗いました。超念入り洗いコースでした(笑)


キレイになったかな??すすぎ洗いもばっちり!!



干すのは少し難しかったけどコツを掴めば簡単簡単♪頑張って干してくれましたよ。




夏祭りごっこ
夏祭り委員さんが用意してくださったおもちゃで遊ばせてもらいました。可愛いヨーヨーや金魚に大興奮の子どもたち。夢中で遊んでいました。






いっぱい遊んで楽しかったね。夏祭り委員の皆さんありがとうございました。



ミニバケツ風呂でほっこり・・・。これにて楽しかった夏の遊びはおしまい・・・。心も体もとっても成長したゆりっこたちでした。


楽しかったーーー!! 
 (T)
スタッフブログ::ゆりチーム | 02:22 PM | comments (x) | trackback (x)
夏、暑い毎日、プールに入りたーい!
7月は子どもたちの願いも虚しく、雨が続きました。それでもプール開きを行い、お天気の日はプールに入りました。

まずはバタ足から
1

2

カエルジャンプをしたり
3

浮いて気持ちいいー
4

はとさんも楽しんで泳いでました。
5

6


『フープ』
フープはいろんな遊びに使えます。

電車になったり
7

お友だちを引っ張ったり
8

くぐったり
9

先生を引っ張ってあげるよー!
10


『激しいのもへっちゃら』

シャワーのしぶき
11

シャワーをペットボトルで応戦
12

シャワー対ペットボトル
13

シャワー対ホース
14

ペットボトルでプカプカ、気持ちいい〜〜
15


プール遊びは回を追うごとに大胆に、そして激しくなってきました。
残り数回のプール遊びですが、存分に楽しんで欲しいと思っています。(M)

スタッフブログ::のあ・むぎチーム | 06:23 PM | comments (x) | trackback (x)
観測史上最速で梅雨が終わったはずなのに、戻り梅雨って何やねん!と思わず突っ込みを入れたくなった園長です。正式な記録としては後から状況を分析して梅雨明けを決めるそうで、「あの時はまだ梅雨明けじゃなかった」ということもあるそうです。気象予報士はデータを分析して天気を予想するのが仕事であり、未来の天気を決めるわけではありません。あくまでも予報なのです。自然のことを人間の知恵で知り尽くすことなどできないことを考えれば、予報が外れたからと痛立つことも減ると思うのですがいかがでしょう。

 新型コロナの感染状況がすごいことになっています。ピークは8月上旬という説もありますが、ここに来て海外で「ケンタウルス」なる新株が登場したとの報道があります。きっともうしばらくすると日本でもデビューを果たし、大暴れし出すことでしょう。コロナ騒動の終焉が未だに見えない中、ニュース番組ではキャスターが医療関係者に「いつまで続きますか?」などと質問し、「いつまででしょうね。私も早く終わって欲しいと思っているのですが。」と答えるのを聞いて、笑ってしまいました。みんなこの先どうなるのかを知りたいと思うのですが、専門家でもわからないのです。ただ、みんなが疲弊しているだろうと想像すると、何とか見通しは立たないものかと、無駄な思案をするのです。

先日とある会議で出席者の一人が「原発再稼働や自衛隊の海外派兵に反対する意見もあるが、そんなことを言ってる場合ではない。北方四島からロシアが北海道に攻めてくるかもしれないし、天然ガスの輸入がなくなるかもしれないのだから。」

いかにも現実的で、率直な意見なのだと思いましたし、それが今の世論の多数派なのだと思いました。同時に、仮想敵国が北朝鮮や中国から、ロシアに変わっていることにも注目しました。プロパガンダが見事に成功しているということです。

確かにその可能性を否定することは出来ないし、万が一に備えておかねばならないと考えるのは、現在の世界情勢を考慮すれば、現実的な判断ということになるでしょう。
でも、だからこそ手を挙げて発言しておきます。「原発事故であなたの現在の生活や故郷がそっくり失われて補償も受けられないことになっても文句を言わない覚悟はできていますか?軍備増強や平和憲法の放棄に賛成し、日本が外国での戦争にも参加するようになったら、そのつけは子どもたちの命で払うことになるということを知りつつ、その覚悟がありますか?」

状況が変われば、それに対応して変化することは必要です。世の中の情勢に合わせて、自分も周囲も変わっていく方が良いものもあるでしょう。新型コロナの対応などまさにそうで、初めはわからなかったことがわかってきて、度重なる新株の登場で、感染防止策も変わってきました。何を一番大事にするか、その考え方も変わりました。何事につけ変化は必要なのです。

しかし、変わらず守り続けるべきものもあると信じます。それは一人ひとりの命の価値、尊厳です。自分の命や家族の命はもちろん、みんなの命と尊厳が守られねばなりません。そのために作られ、今日まで守られてきた憲法という防波堤を、簡単に崩したくはないのです。
園長:新井純

『園長ブログ カピバラのひげ』 | 03:36 PM | comments (x) | trackback (x)

pagetop