イギリスのブリティッシュ・ゴット・タレント(以下BGT)という番組をよく視聴しています。この番組は世界各地に広がり、米国版アメリカズ・ゴット・タレントでは、蛯名健一さんという日本人ダンスパフォーマーが年間優勝を果たし、見事1億円を獲得したこともありました。

 それらはYouTubeで視聴でき、よく観ているのですが、スーザンボイルを生み出したBGTの2020年の優勝者は、ジョン・コートニーという、コメディアンのピアニストでした。彼は、ジョークを交えて面白おかしく弾き語りをするのですが、特に両親や家族のことを歌うので、面白いだけでなく感動的でさえあります。その彼が決勝の舞台で歌ったのは、新型コロナに苦しむ世の中と、こんな時だからこそ気付かされることがあったのではないかという問いかけでした。

 こんな感じです。「こんな時だからこそ問いかけたい、小さなことほど放っていないか?蚊は小さいけど、君を不快にさせるよね。だから、小さな幸せをさげすまないで欲しいんだ。たとえば、こういうことさ。バーゲンセールでワゴンにあった靴を履いてみたら、自分にピッタリのサイズだったとか、赤ちゃんがおむつ替えの時に笑ってくれたとか、無くしたはずのお気に入りの小さなペンが見つかったとか、サイズ9の服が着れたとか。普段はサイズ10なのにw」

 確かに、私たちの気持ちは、私たち自身の意識でいかようにも変わります。つまらないことを楽しいと感じることもあれば、くだらないことを面白いと感じる感性もあります。もちろん、その逆もあります。でも、どうせ同じことなら、マイナスに捉えるより、プラスに捉えた方が心は豊かになるはずです。

 新型コロナ禍によって、私たちの生活は大きく制限されました。何と言っても昨年2月26日に学校が休校になったことは衝撃的でした。子どもたちにとっても、楽しい夏休みとは違って、自宅学習が続くという異例の事態でした。ですから、保護者の皆さんも、家で勉強を教えなければならないし、外に出られないストレスで子どもの機嫌も悪くなるし、それを受け止めるのも大変だしと、戸惑いも大きかったでしょう。イベントもなくなり、お出かけ、旅行にも行けず、ステイホームの掛け声のもと、家で過ごす毎日。

 そんな日々を振り返ってジョン・コートニーさんは歌いました。「いつか子どもたちは思い出すに違いない、出来なかったことや失った日々ではなく、新型コロナがなかったらあり得なかっただろう、両親が遊んでくれて楽しく過ごした毎日を」

 私たちは、与えられた1日を生きるほかありません。ならば、その1日をいかに生きましょうか。どうせなら、笑顔になれる道を選択したいですよね。新型コロナで不自由な生活は園でも続きましたが、できることをして来ました。職員たちはそのために工夫しましたし、子どもたちも、その時その時を楽しく過ごしてくれたと思います。出来なかったことを数え上げるのではなく、こんな時だからこそ出来たことや気付かされたことを喜べる心の柔軟性を持っていたいと、改めて思ったのでした。

卒園児の皆さん、卒園おめでとう。在園児の皆さん、進級おめでとう。
園長:新井 純


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