新入園児とご家族の皆さん、入園おめでとうございます。在園児とご家族の皆さん、進級おめでとうございます。ここから始まる1年が、子どもたちにとって、またご家族の皆様にとって豊かな実りあるものとなりますようお祈りします。

 大きくなったら何になりたいか?大人が子どもたちによくする質問です。まだまだファンタジーの世界で生きている3〜4歳児なら「アンパンマン!」「プリキュア!」などという答えが返ってくるのも珍しくありませんし、可愛いねぇ〜などと笑っていられます。それが年長になっても同じようなことを言っていると「おいおい、そろそろ現実的なことを考えてはどうだい?」という気になるでしょう。でも、そんなのは放っておけば良いのです。いつまでもそんなことを言い続けるわけではありませんから。

 どこの調査かわかりませんが、中学生のなりたい職業アンケートで、ユーチューバーなどの動画投稿者が上位に食い込んでいるのだとか。初めて聞いた時は驚きましたが、よくよく考えれば現代の価値観がよく表れているようにも思えました。すなわち、良い面を捉えれば、自由だし、独創性が生かせるし、創造的で人を楽しませることもできます。

 一方、親が子どもになって欲しくない職業のぶっちぎり1位がユーチューバーだとも。「楽して儲けられると思うな」「いつまでも続かない」「安定していない」「再生回数ばかり気になり始め、物事の良し悪しの分別がつかなくなりかねない」「他者のためのなる仕事をして欲しい」などなどがその理由。なるほど。確かにそうだなと思う一方、でもそれは、例えば視聴率を上げたいために過度な演出やヤラセをする番組制作会社などにも向けられる意見でもありますし、そもそも様々なビジネスが生まれては消え、あるいは栄えては衰退するということを繰り返していることを思えば、動画投稿を職業としたいという思いを無下に否定するのもおかしな話ではあります。もっとも、だからといって、「ユーチューバーになりたい?いいじゃないか!」などと諸手を挙げて賛成しようという気にもなりませんが(苦笑)。

 このモヤモヤは何なのだろう?と思い巡らせていたのですが、見通しの立たない不確かなものへの不安なのかな、と思いあたりました。大人だろうが子どもだろうが、次にどうなるかがわからなければ不安になるものです。仮に、端から見て見通しが甘すぎると思っても、本人に「きっとこうなる」「こうしてみせる!」みたいな希望が溢れていれば、不安よりは期待が方が大きくなるでしょう。ユーチューバーになりたいとか、芸人になりたいという若者が増えているのは、そうした希望の方が不安を上回っているのだろうと想像します。でも、大人はより堅実な道を勧めるものです。成功はして欲しいけど、失敗のリスクは極力下げたいと思うからです。
子どもたちにとって何が良いのか、どうしてあげるのが良いのかは、必ずしもハッキリとした答えがあるわけではありません。その中で、今できること、すべきことは、様々な可能性を秘めている子どもたちに、様々な力を蓄えるチャンスを提供することなのでしょう。それをしてあげられる園でありたいと思います。

園長:新井 純


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